にじさんじ所属の人気VTuber・甲斐田晴さん。明るく個性的なキャラクターで多くのファンを魅了している彼ですが、裏側では想像を絶する悪質な誹謗中傷に長年悩まされてきました。配信者としての華やかな姿の裏に潜む恐怖と不安の日々。その全貌と犯人の心理が、ANYCOLORの発表により徐々に明らかになっています。
配信もSNSも「安全地帯ではなかった」
甲斐田さんが受けた誹謗中傷は、単なる批判や悪口をはるかに超えていました。配信中には短時間で大量のコメントを連投される“荒らし行為”が頻発し、配信の進行が妨害される被害が発生。ファンとの交流やゲーム実況を楽しむ空間が、一転してストレスフルな戦場となったのです。
SNS上では、関連ハッシュタグを利用した“タグ荒らし”により、グロテスクな画像や過激なコメントが大量に投稿されました。無関係のユーザーも巻き込まれ、心理的負担は本人だけでなくコミュニティ全体に広がりました。
そして事態はさらに悪化。所属事務所主催のライブイベントに対して殺害予告が送られるなど、生命の安全に関わる深刻な脅迫行為も発生。匿名性を盾にした行為が、現実世界での危険に直結する最悪のケースとなりました。
誹謗中傷の具体的な内容
今回の事件で明らかになった誹謗中傷の具体的な内容は以下の通りです。
- 配信妨害(荒らし行為)
短時間で大量のコメントを連投し、配信の進行を妨害。ゲームプレイやトークを遮るだけでなく、視聴者にとっても不快な状況を作り出しました。 - SNSでのタグ荒らし
X(旧Twitter)上の関連ハッシュタグに、グロテスクな画像や過激な書き込みを大量投稿。無関係のユーザーも巻き込み、心理的負荷がさらに増大しました。 - ライブイベントでの殺害予告
所属事務所主催イベントに対して「殺す」「消す」といった内容を含む脅迫メッセージが送られ、本人や関係者に精神的恐怖を与えました。 - 個人攻撃・人格否定
配信やSNSでのコメントには、甲斐田さん個人を執拗に攻撃する内容も含まれ、単なる批評の範囲を超えて人格を否定するものでした。
これらは単なるオンライン上の嫌がらせではなく、刑事事件レベルの被害であることが裁判や書類送検の結果からも明らかです。
誹謗中傷の犯人は誰?
報道によれば、この一連の誹謗中傷を行ったのは20代後半の女性。刑事事件として業務妨害罪で書類送検され、裁判所からは罰金刑が科されました。
民事面では、損害賠償金の支払いと、今後ANYCOLORや所属ライバーに関する投稿を行わないことを条件に裁判上の和解が成立。さらに、ANYCOLORは和解の一環として対象者への意識調査を公開しています。
その調査によれば、本人は「暴走した承認欲求と日頃のストレス」が行為の原因だったと謝罪。この告白から見えるのは、単なる悪意や嫉妬ではなく、精神的な不安や孤立が極端な行動に転化する現実です。匿名環境が心理的に追い詰められた状況で暴走行為を助長したと考えられます。
事件から見える「誹謗中傷の構造」
今回の事件は、オンライン社会に潜む負の構造を浮き彫りにしました。匿名性に守られた環境では、心理的ストレスや承認欲求が暴走しやすく、公共性の高い人物は攻撃対象になりやすいのです。
甲斐田さんの場合も、華やかな活動の裏でこうした攻撃にさらされる日々が続きました。今回の意識調査は、「なぜ誹謗中傷が起きるのか」「加害者はどのような感情を抱えていたのか」を理解するうえで重要な資料となります。再発防止には心理的背景の理解が不可欠です。
誹謗中傷の根絶に向けて
ANYCOLORは、今回の意識調査を通じて誹謗中傷の心理的背景や再発防止策の理解を広めることを目的としています。単なる加害者への非難ではなく、社会全体でなぜ人は他者を攻撃してしまうのかを考えるきっかけを提供する狙いです。
また、ファンや視聴者にはSNSや配信中のコメントでの接触を控えるよう呼びかけています。被害者や関係者の心理的負担を軽減し、同じ事態を繰り返さないための重要なステップです。オンラインコミュニティは便利で楽しい場所ですが、匿名性がもたらす危険性も常に存在します。
まとめ
甲斐田晴さんを襲った誹謗中傷は、単なるネット炎上ではなく、人間心理と社会問題が複雑に絡み合った事件でした。犯人自身の謝罪や背景の公開は、社会全体で誹謗中傷を理解し、防ぐための学びになります。
オンラインでも現実でも、思いやりと責任感を持つことが誹謗中傷根絶への第一歩です。今回の事件は、その必要性を痛感させるものとなりました。
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